2016年8月10日水曜日

第2回日本漢文学総合討論「“漢文学”は東アジアにおいてどう語られてきたか?」を開催します(9/10 大阪大学)

歴史的典籍NW事業
第二回日本漢文学総合討論
「“漢文学”は東アジアにおいてどう語られてきたか? ―中国、韓国、そし
て日本―」
A Symposium on Japanese Kanbun: A Comprehensive Study on Chinese
Prose and Poetry Written by Japanese, 2016
The Place of "Sinitic Literature" in East Asia: Chinese, Korean, and
Japanese Perspectives

2016年9月10日(土) 
13時30分-18時
大阪大学豊中キャンパス
文学研究科本館2階 大会議室
 
趣旨説明 13:30~13:40
山本嘉孝 YAMAMOTO Yoshitaka  (大阪大学講師)
 
Session 1 13:40~14:00
論点整理 及び プロジェクトの経過報告
     
Session 2 14:10~15:20
金程宇  JIN Chengyu  (南京大学域外漢籍研究所教授)
日本漢詩在東亞文化圈中的意義
東アジア文化圏における日本漢詩の意義
  司会 中本大  NAKAMOTO Dai  (立命館大学教授)
  通訳 張麗静  ZHANG Lijing  (大阪大学招へい研究員)

Session 3   15:30~16:40
姜明官  KANG Myeong Kwan (釜山大学校文科大学教授)
조선후기 한문학의 公安派 수용의 양상  (한국한문학 연구사 검토를 겸하
여)
朝鮮後期の漢文学における公安派受容の様相 ―韓国漢文学研究史の検討を兼
ねて―
   司会 福島理子  FUKUSHIMA Riko  (帝塚山学院大学教授)
  通訳 康盛国  KANG Song Kook  (大阪大学招へい研究員)

総合討論 16:50~17:50
ディスカッサント
大谷雅夫 OTANI Masao (京都大学教授)
齋藤希史 SAITO Mareshi (東京大学教授)  

閉会の辞 17:50~18:00
飯倉洋一 IIKURA Yoichi (大阪大学教授)

使用言語
中国語・韓国語・日本語
(すべて日本語へ通訳されます)

主催:日本漢文学プロジェクト共同研究チーム・大阪大学大学院文学研究科
国際古典籍学クラスター
共催:国文学研究資料館
連絡先: 山本嘉孝研究室
(Tel: 06-6850-5680  E-mail: yamamoto*let.osaka-u.ac.jp *=@

開催趣旨
  漢文学の歴史を考える際、中国とともに忘れてはならないのが、東アジア
の他の国や地域における漢文学の隆盛である。よく知られるとおり、中国以
外にも、韓半島、ベトナムなどにおいて、漢文や漢詩が愛好され、社会にお
いて重要な役割を果していた。日本の漢詩文の特徴を考える際には、東アジ
アの諸地域の状況と比較することが必要不可欠となる。
  この研究集会では、韓半島の漢文学を中心に、東アジアの漢文学について
様々な知見を得つつ、日本漢文学を新たに捉え直すための議論を行う。その
際、歴史的な事実の探求とともに、近代以降、それぞれの国・地域において
、漢文学史がどのように構成されてきたという点にも注目する。
  よく知られるとおり、日本では、漢文と母語との間には大きな隔たりがあ
る。それゆえ、漢詩文を自国の文学史の中にどの程度取り込むのか、「国語
」や「国文」などの概念の導入とも関わりながら、今日まで、様々な考え方
が提示されてきた。似た言語環境を持つ韓国の場合、漢詩文を自身の文学史
において、どのように位置付けているのであろうか。
  また近年、中国では「域外漢籍研究」などの呼称のもと、中国以外の地域
の漢文学を研究することが盛んである。このような東アジア全体を俯瞰する
アプローチをとった場合、日本漢詩文はどのような意義を持つものと見えて
くるのか。
  二名の海外の研究者のお話をうかがいながら、率直な意見交換を行い、今
後の日本漢文学のあり得べき“語り方”について展望を拓きたい。

Symposium Overview
     The history of classical Chinese prose and poetry spans across
East Asia, including China, the Korean peninsula, Vietnam, and Japan.
In order to gain a deeper understanding of the history of Sinitic
literature in Japan, careful comparisons with different parts of the
East Asian sphere are paramount.
     This symposium will attempt to situate the development of
Sinitic literature in Korea and Japan within the broader context of
East Asian cultural history, while also paying attention to how
Sinitic literature has been studied in modern East Asia. Of
particular interest is the place of Sinitic literature in Japan and
Korea, where the native language is linguistically dissimilar to the
Chinese language. How does the Japanese case compare to the Korean
case, and vice versa? Also, the study of “Chinese texts outside of
China” has been gaining ground in China, allowing for a more
holistic approach. What new light can we shed on Japanese Sinitic
poetry within the broader East Asian context? Scholars from China,
Korea, and Japan will exchange views, with ample time for questions
from the floor.


2016年8月6日土曜日

パネル発表「日本漢文学研究を“つなぐ”」を終了いたしました

国文学研究資料館主催においてパネル発表「「日本漢文学研究を“つなぐ”―通史的な分析・国際発信・社会連携―」」を行いました。5名の先生方の報告で構成いたしました。

前3名の報告者(滝川先生、中本先生、福島先生)は、漢詩文が制作される場の問題や漢文学的な知の流通経路(受容の問題)などについて、古代、中世、近世の状況について発表するという内容でした。
戦後の日本文学では、それぞれの時代に分かれ、細かな実証を積み上げてきました。したがって、各時代を超えて議論をすることがあまりなく、今回の共同研究では、通史を考えるという行為を通じて、こうした研究状況に新たな展開をもたらしたいと考えております。
たとえば、古代の宴席と近世の詩会との違い、それぞれの時代における漢の知識の位置(和に由来する知識との関係など)など、基礎的ではあるが、あまり普段の研究では考えない問題をマジメに議論することによって、より本質的なものが見えてくるのではないかと考えております。今回の報告は、その一つのテストケースでした。

後2名の報告者(フォーリ先生、フレーリ先生)は、フランス語圏、英語圏における日本漢文学の研究動向や関心の所在について発表しました。
フランスには、日本研究に複数の潮流がありますが、とくに漢文は、仏教との関わりの中で多く研究されてきたとのことです。また、英語圏での状況については、現在、日本漢文学への関心が高まっていること、その中で、日本漢詩文の呼称などについて、いくつかの説が併存していることが紹介されました。
日本語では自明のことであっても、外国の文化圏・言語圏では通じないことが多くあります。このプロジェクトではそのような問題についても注意をしながら進めてまいります。

パネル終了後、多くの方から様々なご意見をいただきました。あつく御礼申し上げますとともに、ひきつづき、お力添えのほど、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

関連ページ ポスター(資料館) 要旨 高校の教育と日本漢詩